(※本編の余韻をぶち壊し気味ですのでご注意ください)
おまけ・後日談
「……と、いうことがありまして」
「へぇ。憶えてる人間もいるんだなぁ」
「申し訳ないことに僕は正直、途中何度か噴き出しそうになるのを堪えるのに必死でした」
「ははは」
「とは言え、少々危なっかしい話ですね」
「そうなんだよ。俺も最初は驚いてなぁ」
「もう少し自衛頂いたほうが良いのでは?」
「一応、明けるまで一週間ぐらいは閉じこもる約束なんだがな。駄目になるのはわかっててもその程度がぴんと来ないらしくて、もうすぐって時に一人で出かけたりするんだ」
「この時もそういった経緯でしたようで」
「ほんと危ないよなぁ。俺は日向にしかならないけど、そういうやつばっかりじゃないんだから、気を付けてほしいのに」
「人間は特に神霊の力に当てられやすいですし、注意したほうがいいですね」
「ああ。危なっかしいのもそうだし、あんなかわいい日向をほかのやつに見せたくないしな!」
「なるほどそのあたりをもう少し詳しく」
「とにかく甘えたがりで、ちょっと離れるだけでも嫌がるし、腕にくっついて付いて来ようとするし、ずっとすり寄ってくるし。あれって猫の『俺のモノ』って宣言なんだってなぁ。もう普段からじゃ考えられないぐらいぐずぐずになっちまってさー。可愛くて仕方ないんだが、あんなんで外に出られたら気が気じゃないんだほんと。いざスル時も声とか……いてっ」
「……お前死ね! 本気で死ね! 今すぐ死ね! ……ていうか、俺が死にてぇ……」
「あ、なんかさっきから奥で布団のかたまりがもぞもぞしてるなと思ったら日向さんでしたか」
「大丈夫だって日向。その頃のお前が駄目駄目なのは皆何十年も前からとっくに知ってるんだから、今さらだ!」
「ああそうでしたねちくしょう死にたい」
「そういえば、この絵師の方の話は二十年ほど前のことですが、そのあと木吉さんが寝ていた十五年間はどうしていたんですか?」
「……! ひゅ、日向、何もないよなっ? いや、でもあんな駄目でぐずぐずだし、まさか……」
「駄目駄目言うなダァホ! 閉じこもってたに決まってんだろ! 一週間どころかどっかの寝太郎のせいで十日も森が曇りっぱなしだったわ! いくら駄目だからってなぁ、てめーがいなきゃ、あんなことまで、あんな……」
「……」
「……」
「……」
「黒子ー、向こうで水戸部がお茶淹れてくれたから飲もうぜー」
「あ、じゃあ僕お土産買ってきましたのでそれもお茶うけに」
「おお気が利くな! って、木吉どったの?」
「そのうち解凍すると思いますので、今のうちに行ってましょう」
「ん? うん。じゃあ木吉、日向も呼んで後から来いよ!」
「……」
「……」
「……」
「……」
「日向ああああああああああぁぁっ!」
「いい加減に自分のデカさ自覚しろ重いわダァホー!」