(2016.4.23 ピクログよりサルベージ)
そもそもこの小説企画自体どこまで嶋田先生が関わっててどこまで正史と考えていいのかわからない部分も多かれど、スニゲーターとステカセ・スプリングマンの関係など一部設定は確実に始祖編以降に反映されている部分もあり、ifストーリーの側面が強いながらも意外に無視できない作品となっている様子。
年齢が変わっちゃってるのは「嶋田先生が二人のプロフィール忘れてた(と言うかもともと当時の詳細なプロフィールを作ったのは先生ではない気もする)」「ストーリー運びに都合良く変更した」のどちらか? 個人的には年齢差のあるほうが好きなので書く時は9歳差を推していきたい所存。
それはそれとして同年代幼馴染の二人もめっちゃ可愛かったです。
以下、箇条書きっぽくざらざらっと。
【背景設定】
・異次元から地球に移住したら顔の穴が埋まって羽が生えたよ! 体色も黒から白になったよ! ついでに能力も変わったよ!……説明されれば説明されるほど謎だらけ一族。ツッコミどころは色々ありつつ、原作でのブレや異次元→バミューダ海域の出身地変更をうまいこと活かしてきた設定でちょっと感心。分家の移住地シアトルはペンタゴンのタイトル所持地カリフォルニアとアメリカ西海岸つながり?
・「両家は時に婚姻関係を結ぶほど良好な関係」「主義・考え方の違いで潜在的には対立」。どっちやねん、という気もするけど表面上交流はあるからそういう対立を超えて仲良くなる素地はある、と考えれば矛盾はないかな。
・属性については明言されず。性質は本家が荒っぽい、分家が争いを好まない傾向……ということでなんとなく本家は悪魔寄り、分家は正義寄りっぽいけど異次元の一族てことではっきり分かれていないのかもしれないし、そもそも超人の属性が全員どこかに所属する類のものなのかも良くわかってないし……
・五世代目のペンタゴンから真っ白、という設定に妄想が広がる
【少年編】
・新章スタート前の作品だから一人称とか口調とか色々違うんだろうな……ペンタはタッグの時のチンピラ口調もあり得る……と思ってたら意外にそのまんまで安心した。呼び名も「ブラック」でいいよいいよー
・二人がパートナーになるきっかけエピソード、何これ素敵。三人にタコ殴りされるブラック少年を助けに飛び込んで抱きかかえて飛ぶペン太……あれ? この時代から専属守護天使だったのかな? しかしブラック少年はこの時点で既に100kg以上あると思われる
・そして危うくケンカしかけて一転仲良くなる二人。何これかわいい。バミューダⅢと一緒にされて怒ったり、皆の信頼があるんだ!と得意げにしたり、ペンタゴンの力を認めるやお前となら勝てる!と意気揚揚になったり、純心熱血ブラック少年たまらんかわいい。それに素直に感心して「魅力的なヤツ」とか思うペン太。えーもう二人ともデレデレですやん……
・「お父さんはもっとすごい」というペン太のセリフでペンタ父が分家系の能力を持ってることがわかるけど、このへん深く考えると「ブラック父(バミューダ)とペンタ父(ヘキサゴン)が兄弟」ていう一般に広まってる設定、兄弟なのに片や本家系、片や分家系でぱつっと分かれてなきゃいけなくて、祖父母が本家/分家間で婚姻しているとしても遺伝的な不思議が生じ……深く考えちゃいかんよね肉は。一応ペンタ父とブラック母が兄妹とかならおかしくないけど、やっぱり男兄弟がいい感じがするなんとなく
・バミューダⅢとの対決シーン、全員やたらにテンションが高くて文章で読むとすごくおかしい。そんな中でもお互いを褒め合う従兄弟ズ。戦闘中だぞいちゃいちゃすんな(いいぞもっとやれ)
【決別編】
・従兄に会う日を待ちわびるペンタゴンの姿にキュン。順当なアメリカンティーンに成長した感じ。「強情でクソ真面目なブラックのことだから~」ていう評価がとてもそれっぽい
・不穏な空気の中で出てくる「総帥」の語からの連想に個人的にろくなものがなく字面で笑いがこみ上げてきてすみません。ズッコケ三人組な感じになってるバミューダⅢがおかしい
・急展開の決別宣言。もっとじっくり描いてほしいところだけど企画ものだから仕方ないね……故郷の平和のために悪を目指して、世界の裏側を色々見てしまったのだろうブラックさんの急に老成しちゃったような退廃的な雰囲気がなんとも艶っぽい
・と思ってたら別れ際いきなり魔王みたいな口調になる総帥。それらしいキャラ作り頑張ってるの? しかし出奔前にペンタゴンにだけは別れを告げていこうとちゃんと待ってるあたり、デレ度は変わらず
【再会~その後編】
・悪魔超人編の問題のセリフ「代わってリングに上がってやりたい」をうまいこと消化。あの頃は従兄弟設定はもちろんあとでタッグを組ませる思惑なんて影も形もなかっただろうに、偶然ってすごいなぁ
・負けた従兄のもとにすぐさま駆け付けようとするペンタ。貴方の陣営の代表もぼろぼろで大変ですよ
・いきなり問いかけられて邪険にせずに事情を説明してくれるカーメンがいい人過ぎる……「え、正義超人? 絶賛対立中なのになんで気軽に話しかけてくんの? え、BHの友人? え?」て感じで驚いてるうちにうっかり毒気を抜かれたんだろうか
・再会時に熱い啖呵を切るペンタとそれに「相変わらずいい奴だ」と笑うブラックさんのやり取りも、冒頭&ラストシーンのタッグ編で負けてからの静かに悔しさを噛み締めつつ続く道を確かめ合うやり取りも、どちらのシーンもお互いの立場や目指す道を理解して尊重し合っている感じでとても素敵。「従兄弟」であって「親友」であって「パートナー」であって「ライバル」でもある正悪超越した絆を感じさせて、ここから新章のあれに繋がると考えると全く違和感がない
【総評】
なんかもう終始ツン無しデレデレの仲良しさんたちで大変ご馳走様でございました。お互いへの信頼と特別視がたまらないね! バディ感あふれる二人にほんと弱い。
背景設定も話自体の流れもなかなか納得感があってよかった。悪魔の道を選んだ理由とか前評判通りのアメコミヒーローっぷりでちょっと格好良すぎる気もするけど……
両先生お気に入りのキャラだけある高待遇で、四次元好きさんには問題なくおススメできる一本でした。難点は話の中身に対してちょっとボリュームに欠けるところと、携帯から月額制のサイト登録をしないと読めないところ……いつかほかのキャラの話と合わせて書籍化してくれないものか。